テクニックで乗り切るセンター試験

ポイント

センター試験(来年度以降の大学入試共通テストも共通です)では、塾や予備校でしか教えてくれないテクニックがたくさん存在します。センター試験は高速に情報を処理することがメインテーマです。また、最近はその中に情報を分析する問題がちりばめられています。それらをどうやって乗り切るのか、テクニックは知っていて損はありません。

センター試験と二次試験のイメージの違い

センター試験は、国公立の二次試験や、私立大学の入試とは大きく異なります。イメージとしては、センター試験は短距離走、二次試験は長距離走です。

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センター試験の場合、ほとんどの教科は問題数が多く、読まなければいけない文章も長くなる傾向にあります。そのため、高速で情報を処理できるかがポイントになります。
センター試験対策を始めたばかりの高校生はよく、「時間が全然足りなかった」と言います。特に国語・数学・英語は得意な人でもしっかりとした対策をしていなければ、解きおわらないことがあります。

実は塾や予備校でしか教わらない、センター試験専用のテクニックが多数存在します。よく塾でセンター試験対策を行っていると、「もっと早くそのテクニックを知りたかった」と生徒に言われます。それくらいテクニックが重要になります。

テクニックを知る前に基礎を磨くこと

もちろん塾ではセンター試験のテクニックを教えていくのですが、基礎ができるまではテクニックを教えていません。基礎力がないままテクニックにばかり頼ってしまうと、応用問題が出た時に考える力がなくなってしまいます。
目安としては高3の夏までに一通りの復習をしてから、9月以降に少しずつテクニックを学んでいくのがよいと思います。

センター試験においてテクニックはすごい威力があります。数学では、通常は2分程度かかるであろう計算を15秒程度で終わらせることができるものもあります。しかし、これはあくまでも特定の問題に対してだけであり、テクニックが使えるかを見極める力は数学の基礎力でしかありません。
テクニックを知ることは大切なことですが、使い方には注意してください。テクニックばかりでは本番で大きな失敗をしてしまうので、本末転倒です。

教科別に見るセンター試験の特徴とテクニック

センター試験では数々のテクニックが存在しています。これまで、予備校や塾で受け継がれてきたテクニックの一部をご紹介していきます。もちろん、使いこなすには時間がかかるので、テクニックを使いこなせるまで練習をしてください。 今回は、国語・英語・数学に絞ってテクニックを紹介していきます。もちろん、理科や社会にもテクニックは多くありますので、塾や予備校などで習ってください

【国語】時間配分と読解スピードを鍛える

国語で一番大切なことは、読むスピードです。現代文では見開き3ページ程度の文章が出題されることもあり、おそらく大学入試全体の中でも最も長い部類になると思います。しかも、それを20分程度で解く必要があります。
つまり、国語で最も大切なことは読解スピードを極限まで上げていくことです。

センター試験は4問を80分で解きます。評論文・小説・古文・漢文です。単純計算では1問20分になりますが、これは大学入試全体の中でも、最も短いと言っていい時間配分になります。

特に第一問の評論文で時間がかかってしまう高校生が多くいます。評論に時間をかけてしまって普段より点数が低いということは、よく起こっています。評論文の対策がセンター試験の国語における対策のメインテーマだと思います。
また、普段は振れないような難しい内容の文章が出題されることが多くなります。そのため、漫画などを読むスピードが速くても、現代文を読むスピードが速いとは限りません。普段から現代文の文章を読み慣れておくことが必要です。

そしてここからがテクニックです。

筆者の主張と論理展開のみを読んでいく

評論文では、筆者の主張を読み解くことが求められます。そこで、評論文を読みながら主張ではないところは早く読み飛ばしていき、主張になったときに読むペースをゆっくりにする読み方をお勧めします。
特に人間の主張は逆説のあとにきます。弟と喧嘩をしてお母さんに怒られた時を想像してみてください。

「僕も弟を殴った。でも、弟が先に殴ってきたんだ」

前半は誰から見てもわかる一般論を述べていて、逆説の言葉の後に主張がきています。評論文でもこの表現方法は多く使われており、逆説の後はしっかりスピードを落とす必要があります。

また、古文や漢文で時間を節約することもできます。練習の時には、しっかりと読むスピードを意識しながら問題を解いてください。

【英語】文法より長文の配点のほうが大きい

英語の勉強を見ていると、文法や発音・アクセントなどを必死に覚えている高校生が多くいます。もちろん、全く無駄ではありませんし、確かに点数に直結するので勉強をしている感じをだすことができます。

しかし、センター試験では文法問題より、長文読解の問題が多くなっています。つまり、高校生が優先してすべきことは、文法の練習ではなく、いかに早く英文を読んでいくかということです。
文法問題は1問2点であることがほとんどですが、長文問題は1問6~8点になっています。長文で点数を落とすことは、相当な痛手になってしまうので注意が必要です。逆を返せば、長文でしっかりと得点を稼いでいれば、文法問題は少し間違えても問題ないということです。

国語と同様に、英語の長文も過去に比べれば長くなっている傾向にあります。つまり、何度も読み直す時間はありません。一回読んで、内容を把握しなければいけません。

そこでテクニックです。

問題文の先を予想しながら読んでいく

英語は重要な言葉が先にくる傾向にあります。つまり、後ろの文章が予測しやすい構成になっています。そこで、次にはこんな文章が来るだろうという予測をたてながら読むと、記憶に定着するため何度も英文を読み返す必要がなくなります。英語は重要な言葉が先にくる傾向にあります。つまり、後ろの文章が予測しやすい構成になっています。そこで、次にはこんな文章が来るだろうという予測をたてながら読むと、記憶に定着するため何度も英文を読み返す必要がなくなります。

【数学】数式に隠された言葉と接続詞を活用する

数学にも数々のテクニックが隠されています。数学の問題は60分ずつで、数ⅠAと数ⅡBを解いていきます。ほとんどの受験生は最後まで解き終わりません。自分ができる問題を見極めて、できない問題に時間をかけすぎないことが高得点を取るコツです。

まず大切なことは、しっかりと計算練習をしておくことです。計算はただできるだけでは意味がありません。どれだけ高速に、頭を使わずに計算をできるようになるかがポイントです。

小学生のころに九九を覚えますが、最初は頭から言い始めなければ覚えていません。突然7×6=?と聞かれても、7×1から順番に唱えながら答えを出します。しかし、高校生で頭から唱える人はほとんどいません。無意識に瞬間的に答えが出るくらいまで使いこなせています。
高校数学で登場する因数分解や指数計算なども、これくらい練習しなければいけません。数学は計算だけでなく難しい論理的思考力も要求されています。そこで計算ばかり頭を使っていると思考力が疎かになります。思考力に気を取られて計算ミスをします。

ここからがテクニックです。

数式は神が人間に与えた言葉である

何か哲学的なことを言っているように聞こえますが、数式は言葉と同じです。汚い言葉で話すこともできますし、流暢なスラスラした話し方をすることもできます。
数学が苦手な人ほど、ただ漠然と計算をしてしまい、汚い言葉を話していることが多くなっています。数学な得意な人は、練習の時に計算を見直しながら、もっといい言葉遣いはないかを常に探しています。

このいい言葉遣いを探す行為こそが、数学が得意になるコツです。計算から徐々に頭が解放されることにより、難しい問題にも頭を使うことができ、計算ミスもそれだけ減っていきます。計算ミスが多い!と思う高校生は、計算の中身を見返してみてください。ただ漠然と汚い言葉で話していませんか?

そしてもう一つは、接続詞に注目することです。センター試験の数学では、間に接続詞が入っていることが多くあります。この接続詞が何を意味しているかを読み解くことができれば、出題者がその次に何をした欲しいのかがわかるようになります。
例えば、「○○となる。これにより××」と来た場合に、絶対に○○を使って××を導くことになります。

当たり前だと思うかもしれませんが、多くの高校生がこの接続詞を見落としています。数学には流れがあります。その流れを読み解きながら進めることができれば、今までよりはるかにクリアに問題と向き合うことができます。
特にセンター試験対策をするときは、数式にだけ目を取られるのではなく、その間にある日本語にもチェックや印をつけながら解き進めることをお勧めします。

大学入試共通テストの特徴

2020年度からはセンター試験は廃止されて、大学入試共通テストに変わります。多くの高校生が今までのテクニックが通用しなくなるのではないか?と心配しています。しかし、現段階ではそれほど心配する必要はありません。

現在、試行テストなどが行われ問題が公開されていますが、一部の試験で記述式が導入されるなどの変更が行われていますが、それ以外部分に関しては今までとさほど変わりがない構成になっています。

思考力をより重視するようになる

これは、大学入試共通テストに限ったことではなく、センター試験全体から受け継がれている傾向ですが、「思考力重視型の問題にシフトしている」と言われています。

特にセンター試験開始直後には、暗記教科だと思われていた社会や理科が顕著になっています。最近ではグラフや資料の読み取りなどが中心になり、知識よりも思考力を問う傾向にあります。
これは大学入試共通テストにも引き継がれています。センター試験じゃなくなったから!ではなく、その延長線上にあると思ってください。今までと同様に「思考力」「情報処理の速さ」を重視する傾向は変わりません。

以上のように、塾や予備校に行く意味は、そこでしか学べないテクニックがあるからです。ただ、もう一度注意しておくことは、基礎力が固まっていないときにテクニックを学ぶことはやめてください。数学であれば計算力、英語は単語力・読解力、国語は読解力・文法が身に着くまでは基礎練習に徹底してください。