難関大・国公立大に合格するための大学受験戦略

難関大・国公立大に合格するための大学受験戦略

ポイント「大学受験では得意科目を作ることが合格を決める」

大学受験と高校受験では戦略が大きく異なってきます。それは、中学までは義務教育であり、すべての子たちが満遍なくできるようにと教科ごとに教科書が作られているのに対して、高校では大学での勉強を念頭に置いて教科書が作られています。4年制大学に進学する割合は、全体の50%程度であることから、大学受験で問われる内容は難しくなっています。
こういった違いから、中学までの受験戦略をそのまま信用してしまい、受験に失敗する高校生を多く見てきました。受験を失敗しないためにも、難関大や国公立大を目指すための受験戦略をご紹介します。

難関校合格のための平均点が全く違う

まず、高校受験と大学受験でどれくらい合格者の平均点が違うのでしょうか。
各地域の難関高校と難関大学の平均点は圧倒的な差があります。

難関高校・・・8割~9割
難関大学・・・6割前後

難関高校の受験で苦手教科は命取り

難関高校に合格する場合は、各教科の平均点が8割から高い場合は9割に近くなることもあります。難関高校を受験する中学生の多くは、得意教科で満点近くの点数を取っているので問題はありません。

しかし、苦手教科に注意しなければいけません。全部が5教科しかないため、合格者平均が9割だった場合、4教科で満点を取っても苦手教科が半分を超えていなければ合格は難しくなってしまいます。
つまり、難関高校受験においては、苦手教科をいかに克服するかが合格へのカギになっています。

難関大学の受験は苦手教科があっても大丈夫

次に、難関大学を受験する場合はどうでしょうか。苦手教科が半分しか取れなくても全く問題はありません。もともと平均点は6割ですので、他の受験生とあまり差がつきません。もちろん苦手なので、4割程度の点数しか取れないこともありますが、全く問題はありません。

それは、得意教科が一つでもあり、8割を超えていれば平均すれば6割になってしまいます。つまり、苦手教科を得意教科でしっかりとカバーすることができるのが、難関大の受験です。
もちろん、大学受験の問題で8割を取ることは相当な努力が必要になります。多くの高校生は6割しか取れない問題で、8割を取るためには偏差値で60を軽く超える力がないと実現しないと思います。

苦手教科、得意教科があっても合格できるのが大学受験です。

教科ごとの点数配分が大学ごとに違う

実は、平均点の低さに加えて、大学受験では受ける大学ごとに点数配分が異なることに注意しなければいけません。九州大学と九州工業大学の工学部の二次試験を比較してみるとわかりやすいと思います。

  英語 数学 理科
九州大学 工学部 200点 250点 250点
九州工業大学 工学部 なし 400点 400点

もちろん、センター試験での配分も違いますが、九州工業大学では二次試験に英語はありません。つまり、英語が苦手でも、九州工業大学ではセンター試験以外で英語が必要ありません。

大学受験では、苦手教科の配分がなるべく少なく、得意教科の配分が大きい大学を受験することで合格の確率を飛躍的に上げることができます。
高校受験では、5教科すべての受験がほぼ義務付けられているため苦手教科があることが致命傷になってしまいますが、大学受験では苦手教科だからといって直接合否に結び付くかは別問題です。

文系なのに数学、理系なのに国語を気にして塾にくる

実は長年、高校生を教えていると、こんな生徒や保護者から問い合わせが来ます。

  • 文系で、数学や理科が全くできないので習いたいです。
  • 理系で、古典がわからないので教えてください。

こういった場合でよくあるのが、志望校どこですか?と聞いてみて調べてみると、その教科は受験で必要ない!なんてことがあります。もちろん、国公立大学ではセンター試験が必須になるため、全く使わないことはないのですが、1200点満点のうち50点しかありません。なんてことが多く存在します。

高校受験の経験から苦手教科を潰していかなければいけないという、強迫観念をもっているのでしょうが、大学受験では一度ゆっくり考えなければいけません。

先ほども見たように、平均点が低い、そして教科の配点がバラバラということで、本当に自分が合格に近づくために、その教科をわざわざ塾でお金を払ってまで勉強しなければいけないのかを考えなければいけません。

志望校を早く確定して、教科のプロではなく受験のプロに相談

 

大学受験で合格するための戦略として必要なことは2点です。

  • 志望校を早く確定して、勉強する教科を明確にすること
  • 教科のプロではなく受験のプロに相談をすること

志望校を早く確定して、勉強する教科を明確にすること

今まで見てきたように、志望校が確定しない限り、どの教科にどれくらいの時間とお金を割いていくのかが決まりません。大学受験はハードルが凄く高い試験のため、無駄な時間やお金を使っている暇はありません。

いち早く志望校や学部を確定させて、どの教科を重点的に勉強していかなければならないのかを知る必要があります。ただ、がむしゃらに苦手教科を勉強する!という中学生までの戦略は忘れてください。

教科のプロではなく、受験のプロに相談をすること

学校の先生が進路相談や勉強方法の相談に乗ってくれます。しかし、それには注意が必要です!

学校の先生は教科ごとにはプロだと思います。しかし、本当に受験全体を見渡したときのプロなのでしょうか?全体を見ながら志望校のアドバイス、勉強方法のアドバイスをしてくれる先生は確かにいます。
ただ、長年高校生を見てきている中では、どうも、その教科だけに注目しすぎてしまい無駄な作業をさせている先生もいらっしゃいます。

受験のプロとは、その子の成績や理解度、勉強の好き嫌い、さらにはその子の希望の進路を総合的に判断しながら志望校を提案します。その上で、大学入試の配点を見ながら勉強方法をアドバイスしていきます。
必ず、早い段階で受験のプロに志望校や勉強方法を相談してください。そうすることで、無駄な時間を作らずに、効率的に勉強をしていくことができます。

効率的な勉強とは、時間とお金の使い方しかない

効率的な勉強とは、時間とお金の使い方しかない

最後に、効率的な勉強と書きましたが、誤解の無いように説明をしておきます。

よく塾にいけば効率的に勉強ができる。この参考書は効率がいい。などの言葉があります。まず知っておいて欲しいのは、勉強に効率的はない

知識というものは、一つで頭に入っているのではなく、多くのものが結び付いて入っていて初めて知識と呼ぶことができます。一つがポツンと入っていているとすぐに忘れてしまいます。

無駄だと思われることを大量に入れて行って、それらを一つ一つ結んでいくのが勉強です。ただ、ひたすら入れいくと、ふとした拍子にすべてが繋がり始める瞬間があります。そうすれば、それは忘れることが少なくなり、多くのことを頭に入れることができます。

大学受験においては、教科数や内容が膨大です。勉強をするためには、どの教科にどれくらいの力を入れればいいのか。どこかを程よく力を抜くことが必要だと思います。
すべての教科をがむしゃらにやることは時間がかかりすぎます。自分の目標とする大学に効率的に近づきたいのであれば、勉強そのものではなく、時間やお金の使い方を効率的にする以外は、方法はありません。