東京大学の傾向と対策

ポイント

日本最難関の大学ですが、教科数が多いため得点を稼ぐところ、最低限に抑えておくところを住み分けしていくことで、配点戦略をしっかり取れば、他の難関大とあまり差はありません。教科数が多い分、勉強が分散されてしまうことさえ注意して、しっかりと対策を行っていくことが大切です

東大だから必要な特殊能力は存在しない!

多くの高校生は、東大は才能が必要!と考えています。しかし、受験をしっかりと分析していくと早稲田・慶應・上智などの最難関私立大学のほうが特殊能力が必要に思えます。最難関私立大学ではマニアックすぎる問題が出題されることが多く、ほとんどの予備校ではそれ専用の講座が開かれている状態です。

東大の場合、問題数が多い、教科数が多いなど処理能力の高さを求められることはあっても、大量の暗記を求められることはほとんどありません。しっかしと問題を分析し、得点源となる問題、時間をかけない方がいい問題などを見極めるといった、受験全体のテクニックを極めていく必要があります。

決して東大だから!といって過剰になってはいけません。分析力や語彙力など、受験全般に影響している力を、最大限まで高めることができれば、東大に合格することは難しくないでしょう。

センター試験の足切りを勘違いしないこと

東大入試では、センター試験の手数で足切り(この点数を下回ると、試験すら受けさせてくれずに不合格)があります。これは、出願者が多い場合に、合格者の3倍しか受験できないようにするシステムです。様々な大学で採用されていますが、東大はこれがほぼ毎年のように起こっているので注意が必要です。

東大の過去の足切り点数は、毎年大幅に変動しているため一概には言えませんが、900点満点で高い時は700点前半、低い時は600点前半になっています。志願者数が少ないと足切りなし、という年もあります。
そして、この足切りシステムの不思議なところが、「文科一類」「理科三類」といわれる東大の法学部、医学部の足切りが一番低くなることが多い点です。それだけを見て自分でも受けることができる!と勘違いしないでください。これは、志願者のレベルが高いため、志願者数が少なくなっていることが原因です。実際に合格最低点で比べると、「文科一類」「理科三類」が最も高くなっています。安易にこの二つの学部を受けることをお勧めしません。

東京大学における教科ごとの傾向と対策

【英語】リスニングを含めた時間配分が決め手!

東大の英語は試験時間120分になっています。その中で試験開始から45分が経過したタイミングでリスニングが放送されます。リスニング試験は約30分間放送され、再び残りの問題を解くという流れになっています。まず、このリスニング含めた時間配分を考えることが重要です。正直、120分にしては問題量が多く感じる受験生がほとんどだと思います。自分がどこで点数を稼いでいくのか、戦略が問われます。

リスニングが始まり、問題を解いている途中で中断されることがあります。これが長文を読んでいる最中などであれば、終わった後にもう一度読み直すなどの大きな時間ロスになります。このリスニングをどのタイミングで迎えることができるかが、大きな決め手になっています。
また、文法や長文に出題される単語は他の難関大に比べて難しいわけではありません。最難関私立大学のほうがよっぽど難しいものが出題されています。そのため、超ハイレベルな熟語などを覚えるよりは、英語を読むスピードや、長文を要約する力など、英語を言語として扱う力を鍛える必要があります。特に要約問題では、いかに筆者の主張を要約に盛り込むかがポイントになります。現代文などと同じように、筆者の主張がどこにあるのか、それを英語でも見極める力をつける練習をしてください。

最後に、大問2で出題される、「自由英作文」と「英作文」の対策を忘れないでください。特に自由英作文ではテーマが難しく設定されていることが多く、練習をしていない高校生には何を書いていいのかわからない場合があります(絵を見て、思ったことを自由に書きなさい!など)。あまり深く考えずに10分くらいで指定の語数を書き切る訓練をしてください。
英作文では、決まった文章を作るので先ほど自由英作文よりはやりやすいと思います。ここでは指定されたルール(段落構成、状況設定)などを大きく逸脱しなければ問題ありません。逸脱してしまうとほとんど点数にならないので気を付けてください。

全体的に独特な問題構成になっていますが、単語などの難易度は総合的に高くはありませんので、しっかりと対策をしていけばある程度の点数を狙えます。

【数学(文系)】基本的な問題は絶対に落とさない!

文系の数学は、「簡単な問題と難しい問題」「分野と分野」が入り乱れていることが一番の特徴です。

まず、問題の難易度のばらつきに注目してみます。もちろん、簡単な問題と言っても教科書レベルの問題ではありません。しかし、入試ではオーソドックスな問題で少し似たようなものをどこかで見た記憶があるかなというレベルです。この簡単な問題をしっかりと拾っていくことがポイントになります。問題文が短すぎる問題は、難しいことが多いので要注意です。ほとんどの受験者は半分からちょい上くらいしか取っていません。つまり、全部に手を付けるのではなく、しっかりとできるところで点数を拾っていく必要があります。

また分野と分野が混ざって出てくることに注意が必要です。微分・積分などほぼ毎年出るような分野もありますが、満遍なく分野を出してくるので、偏って勉強をしないでください。一見ベクトルの問題に見えても、幾何学で解く。なんてこともあります。

【数学(理系)】解答の書き方を練習すべし!

理系の場合は、図形やnを用いた抽象的な問題が多く出題される傾向にあります。これらの問題をいかに採点者にわかりやすく答えていくかがポイントになります。複雑な空間図形などの一部を切り取って説明しなければいけません。自分で想像ができるからと説明文を飛ばしてしまうと、大幅な減点をくらってしまいます。

こちらも文系と同様に、部分点を稼ぐ場所、しっかりと完答をする場所を見極めることが重要になります。理系は文系と違い、難易度が高い方に少し偏っています。問題文に隠されたヒントや、計算の工夫などに注意しながら問題を解き進めなければいけません。全体的に、解答の書き方、問題文の読み方も含めて、出題者・採点者の意図をいかに読んでいくか、ということを他の試験以上に問われるのが東大数学の特徴になります。

【国語】古文と漢文を得点源とせよ!

まず、文系・理系問わずに古文と漢文の難易度が、そこまで高くないことに注目してください。古文と漢文は一部の設問が理系で削除されていることがありますが、古文・漢文は文理共通問題になっており難易度がそこまで高くありません。ここでしっかりと得点を稼いだうえで、現代文の部分点をどう積み重ねていくかがポイントになります。理系の受験者は国語を避けたがる傾向にありますが、意外に安定して点数を取れる教科かもしれません。

また記述式の問題がほとんどであるため、現代文では筆者の主張、古文・漢文では内容を把握できていることを採点者に訴えていく必要があります。文字数制限ではなく、解答欄の制限になっているため、小さい字で長々と書けばいいじゃん!と安易に考えていることも多いですが、しっかりとまとめる力をつけていきましょう。

文系は、理系にない大問が1つ追加されています。文系のみの問題であるため、他の問題に比べて難易度が少し高めに設定されています。比喩的な表現も多くなっているため、そういったものを避けながら、解答を書く対策をしてください。しかし、やはり得点源とすべきは文理共通問題です。

【社会】歴史の流れと図表の読み取りを練習

社会は、「日本史」「世界史」「地理」の中から2つ選択し、文系のみが受験します。

歴史分野である「日本史」「世界史」は、時代の流れ、出来事の繋がりなどをしっかりと押さえていく必要があります。それぞれの単語を覚えることも重要ですが、それ以上に流れを重視して勉強をしてください。また、資料などを読み解く問題も多く出題されます。資料内の分をしっかりと読み、分析し、時代背景などを考慮に入れながら文章を書く必要があります。この関係で、近代以降(昔すぎると資料が残っていない)が多く出題される傾向にありますが、苦手な時代や地域は作らないようにしましょう。

地理に関しては、グラフやデータなどの資料を読む問題が中心になります。ただ漠然とデータを覚えていくのではなく、なぜそうなっているのか?を考える訓練をしてください。気候や農作物は地学、工業や貿易などは経済学といった他の分野にまたがる知識も少し入れておくと記述問題を解きやすくなると思います。

【理科】基本的な理論をどこまで発展させることができるか

理科は「物理」「化学」「生物」「地学」のうち2つ選択し、理系のみが受験します。地学はほとんどの学校で先生がいないため選択することが困難になっていますので、残りの3科目について解説していきます。
まず物理は、わからない!と思わないことが重要です。確かに、わかりにくいように問題文を作ってあるのですが、物理の基本は、どんなに難しい事象も同じ理論で説明できるかどうかです。一見して難しく見えても、それは普段使っている理論で説明できるものです。

難しい問題を使いながら、自分で分析してかみ砕いていきながら、どの理論のものなのかを分析する練習をしていけば問題ありません。公式や理論が、他の教科に比べて少ないからこそ、その少ない理論にどう持ち込むかがポイントになります。

次に化学は、とにかくスピードが命。文章量も多く、計算も複雑になりがちです。理論化学や有機化学などで特に多くの時間を費やしてしまいます。これらを普段からいかに早く処理することができるかを鍛えていく必要があります。時間があれば解けてしまう問題も多いので、あまく考えている高校生も多いのですが、スピードを重視しながら解いてください。

最後に生物では、基本的な知識を用いて、実験結果を考察することが大切になります。問題の前半では、知識問題も出題されているのでここで点数は落とさないようにしてください。そして、そういった基本的な知識を使いながら、実験結果のデータをどのように読んでいくのか、それをどう考察するのかを練習する必要があります。普段から図表や実験データなどを見て、考察する訓練をしてください。