「計算できるが、文章題ができない子」を自宅で鍛える方法

「計算問題だとスラスラ解けるのに、文章題になると突然解けなくなる」
こういう子だと、お母さんたちもどうやって勉強を教えていいか困るときって多いですよね。こんなとき、まだ塾に行くのは早いとは思うけど、自宅でちょっと対策をしておきたい!って思いますよね。

そんな保護者の方に、大学受験を教える理系講師が、授業にも取り入れている方法のうち、ご自宅でできる解決法をお伝えします!

小学生~高校生まで、幅広く使える方法になっていますので、高校生なども一度読んでみてください。

数学的なセンスって何?

「数学的なセンス」という言葉を聞いたことがあると思います。サッカーや野球のように、「センス」というものは存在します。
何をさせても感覚で身についてしまう子です。問題を解いていると、「突然やり方を思いつく」という感じの子です。

「センスで問題を解く」とは、解いてる途中に解法が突然空から降ってくるのです。理屈ではなく、突然思いつきます。
もちろん、このセンスには程度があります。ノーベル賞級の難題を解く天才的なセンスから、小学生・中学生の問題を解くレベルまで様々です。

この文章を書いている僕も、高校生のころまではこの「センス」で問題を解いていました。ただ、僕が持っていたものは「問題を解くセンス」です。しかも、レベルは大学入試レベルのもので、大学の数学で挫折してしまいました。

全員に天才的なセンスはいらない

普通に学校に通い、大学受験をするまでの間に、このセンスは必須ではありません。
もちろん、持っていた方が勉強時間を短縮できるなど、有利に働くことはありますが、全員に必要な能力ではありません。

僕が見ている高校生たちも、このセンスを最初から持っている子はごく一部です。それでも、国公立大学や難関大学に合格していきます。僕も、教える立場になって、センス以外で解く方法を真剣に研究しました。

でも、なぜ、数学ができるようになるのでしょうか?

数学的センスは、たった2つの技術!

今、お子さんに数学的センスがなくても心配しないてください。実は、数学的センスは後からでもどんどん磨いていくことができる技術です。
そのためには、数学的センスがどんなものであるのか、しっかりと理解をしていく必要があります。

数学的センスとは、2つの力でできてます。

「リズム感」「空気を読む力」

この2つの力を上手に訓練していけば、今文章題が苦手な子でも、算数・数学の問題を解いていくことができます。

ただし、計算能力で躓いている子は、まずはそちらを鍛えていく必要がありますので、「計算ミスをなくす方法」をご覧ください。

リズム感を養う

数学なのにリズム感?と思う方も多いと思います。数学におけるリズム感とは「問題文に隠されたリズムを感じる」です。

これは実際の問題で見ていきましょう。2018年度の福岡県の公立高校入試で実際に出題された問題です。

(問題)

M中学校の全校生徒560人の中から無作為に抽出した40人に対してアンケートを行ったところ、地域でボランティア活動に参加したことがある生徒は25人であった。
M中学校の全校生徒のうち、地域でボランティア活動に参加したことがある生徒の人数はおよそ何人と推定できるか答えよ。

(2018年実施 福岡県公立高校入試より)

わかりやすく色を付けましたが、今回の文章は全体一部のリズムを見つけることが課題です。
このセットが2回登場しているのですが、二回目の全体が欠けています。
つまり、そこを求めるように式を作ってあげることが大切になってきます。

リズム感を養うコツ

色分けによる可視化と音読による反復で数学のリズム感を感じていく訓練です。

これは、リズム感のなさそうな生徒に使っている授業テクニックなのですが、マーカーを引いて色でリズムが見えるようにすることです。さきほどのマーカーの付け方を、実際の問題にもやっていきます。
そのため僕の授業には必ず何種類かのマーカーを持ってくるように伝えています。

そして、可視化した文章を何度も音読をしてもらいます。こうすることで、体全体で数学のリズムを感じ取る訓練を行います。

空気を読む力を養う

リズム感と似ているのですが、リズム感とは「数学上の性質によるリズム」ですが、空気を読むためには「出題者の意図を読む」ということになります。

(問題)

C=90°の直角三角形ABCがあり、BC=6、AB=10である。また、∠Bの二等文選と辺CAとの交点をDとする。

(1)線分CDの長さを求めよ。

(2)半径1の円Oが辺AB、BCとそれぞれE、Fで接している。線分BEの長さを求めよ。

(3)(2)のとき・・・・

といったように、文章題になると問題の中にも、何個か問題が分かれています。
これは、出題者が解く側にヒント(道筋)を与えてくれているのです。

大学入試では、東大が出題した問題を何年後かに、ほかの大学が使うことがあります。しかし、東大レベルの問題を、ほかの大学の受験生が解くのは非常に困難です。
そこで、この道筋を何個か示してあげることで、解きやすくします。

先ほどの問題の(1)(2)を消した状態が東大で、そのほかの大学で使うときは、大学のレベルに合わせて(1)や(2)を復活させていきます。なんなら、もっと増やすともっと簡単になります。

空気を読む力を養うコツ

子供たちが「わからない!」と言って問題を持ってきたときに「その問題は何を聞きたい(解いて欲しい)と思ってるんだろう?」と一緒に考えることです。

必ず用意されている道筋がそこにあります。そもそも、子供たちはそういうものが用意されていると思っていません。
ますは、それを意識して問題を読むように指摘してあげることです。

(1)は(2)や(3)を解くために存在します。わからなくなったら、「今までは何をやってたの?それをどうやって使おうか?」「この問題では出題者は何をさせたいのか?」と聞き返すことを心がけてください。

文章題を解く技術は身につく

数学は才能が必要な教科だと多くの人が思っています。しかし、受験までであれば、「身につく技術」なのです。
ただ漠然と問題と向き合おうとするから、何をしていいのかわからなくなりペンも進みません。

数学の問題と向き合った瞬間に解けることはありません。
頭のいい子でも「わからない」状態からスタートして、図を書いたり、計算をしたり試行錯誤の結果、答えにたどり着くことができます。

この二つの技術は、わからない!と思ったときに考える糸口になります。しっかしと身に着けることで、苦手意識を克服していきましょう!