小論文の書き方まとめ

高校生向け 小論文の書き方まとめ 推薦入試対策・小論文が苦手な君へ

突然小論文を書くことになってしまった!

大学入試が進んでいくと、今までは予定していなかったのにいきなり小論文を書くことになった!という受験生がチラホラと表れてきます。もちろん、小論文というのは一朝一夕で書けるようになるものではありませんが、突然どうしよう!と思った時の指針として「小論文の書き方のまとめ」をご紹介いたします。

だいたい所要時間は10分程度で読める内容になっていますので、移動時間や休み時間の隙間時間に読んでみてください。

小論文の対策とは?

まず、小論文って対策の仕方なんてあるの?と思う人もたくさんいると思います。
はっきりと言うと、小論文の対策はたった一つしかありません。

何回も小論文を書き、先生と議論をすること

受験直前の3年生ならば毎日1回、1年生・2年生ならば一ヶ月に1回~2回くらいが望ましいと思います。

では、まず皆さんのイメージがいかに間違っているか、そしてこの対策にどのような意味があるのかをお教えしましょう。

小論文が苦手?

よく高校生と話をしていると「私は文章書くのが下手だから小論文は無理」というセリフをよく聞きます。これはほとんどの場合間違いです!
確かに、小説や作文のような相手に情景を伝えたり、何か物語を伝える場合には一種の才能のようなものが必要になってきます。それは、一般的には言葉にできないものを言葉で表現しなければならないからです。

例えば、恋人と夜景を見に行ったとします。その夜景を「きれい!」と表現することは簡単です。しかし、小説や作文では「まるで宇宙の中で星が光輝くように、あの明りの一つ一つにも人が生活し、自らの光を出しているんだ」みたいな文章を要求されます。

しかし、小論文はこれはしません!というより、してはいけません!あくまで小論文は論理的に相手に意見を伝える文章です。

何回も書いてみる

これは英語に例えればわかるのではないでしょうか。
高校生ならば学校の課題などで英語の長文を読むことがあると思いますが、なんとか読めると思います。
しかし、では同じレベルの英文を書いてください!と言われた瞬間に、文法レベルが中学生になってしまいませんか?

読むことと書くことは別の考え方を使います。それは日本語だって同じです。

つまり、何回も小論文を書く練習をした人の文章と、全く練習をしなかった人の文章は圧倒的な差があります。英作文でいうと、中学生の文法と高校生の文法の勝負です。そんなの大学受験で勝てるわけありませんよね。

先生と議論をすること

書く練習が必要なことはわかったけど、なんで議論までしなきゃいけないの?

それは、ある分野に対する絶対的な情報量が足りないからです。小論文を書くときには題材としての文章が与えられていることも多いですが、それに関する知識は絶対的に必要になってきます。国語の試験だって、自分が興味ある分野の文章が出れば読みやすいのと同じです。

自分が普段から興味ある分野の様々な問題にどれだけ意見をもっているか。それをどれくらい議論をしたことがあるか。議論をすればするほど、情報量と話す順序に磨きがかかってきます。その状態にしておく必要があるのです。その分野に詳しいかつ論理的に人に伝える訓練をしたことがある人と議論をすることにより、自然と自分も論理的に話せるようになってきます。

小論文超特急講座

さて、ここからは、今すぐどうにかしなきゃ!と思う人向けに、超特急で小論文をどう書いたらいいのかを伝えていきます。テスト中にこの内容を思い出しながら、書いてみてください。人間死ぬ気になればどんな短時間でも成長できます。泳ぎたいなら海に落ちてください。(僕はそんな人を落とすのが好きです)

超特急講座では、以下の2点だけを考えていきます。

  • 考えを一般化する
  • 論述する順番を考える

この二つを実践するだけで、今まで苦手で人に見せれなかった文章がすごく小論文っぽくなります。

個別事象と一般化

まずは小論文をする上で物事の見方・考え方について教えていきます。

必ず自分の考えを一般化すること

世の中には様々な出来事がありますが、それの一つ一つは個別の事象に過ぎません。それらを統括する一般論があるのですが、日常の生活の中ではその一般論に触れることはあまりないと思います。それでは、個別事象と一般化がどのようなものなのか具体例から見ていきましょう。

個別事象論者に騙されるな!

例えば、あなたが「英単語がなかなか覚えられない!どうしたらいいですか?」と誰かに質問をしているとします。
受験を経験したことのある人であれば誰しも自分が実践してきた方法があります。ある先輩は「俺はひたすら紙に書いて覚えたから、覚えるまで何十回でも書けばいいよ」と言いますし、ある先生は「CDを聞きながら音読すればいいよ、いままでの先輩たちはそれで伸びで来た」と言います。

これはすべて個別事象です。過去の人たちに当てはまったところであなたに当てはまるとは限りません。当然、英単語を覚える方法を論じよ!と言われたときに、自分が先輩にこう言われて、こうしてきて~などど書いても小論文にはなりません。それは作文です。

一般化して伝える

さて、では先ほどのような事例をどうやって一般化していくのでしょうか。ここでは、具体的に文章例を示していこうと思います。

人の記憶というのは脳の神経回路同士が信号を伝達して構成されている。人間が何かを覚えるということはその神経回路を繋げる作業であり、何かを忘れるということは神経回路が切れてしまうことである。つまり、物事を覚えようとするときにはできるだけ多くの脳神経同士を繋げておけばよいと考えられる。その方法の一つは五感をフル活用して、暗記中に使う脳神経の絶対数を多くすることだと私は考えている。英単語を見る視覚、それを言葉にすることで自分の耳に入る聴覚、何度も書く触覚といった感じに行うことで忘れにくい学習が可能になる。

先ほどの個別事例をうまく繋げていくとこんな感じになります。もちろん、神経回路の話などは脳科学の情報が必要にはなってきますが、これが一般化するということです。
今回の論理における、一般化の主な流れは「原因⇒対策⇒結果⇒個別事例」という感じです。つまり英単語を覚えるという個別事例を、人間全体の記憶方法という一般化することにより論説できるようになるのです。

一般化に潜む誤解

さて、受験生の多くはこの一般化が合っていないと大学に通らない!と勘違いしています。一般化が間違っていても平気で大学には通ります!
大学の小論文試験で最も重要視されていることは、受験生が論理的に自分の考えを伝えることができるかです。その一般化が間違っていようが、それは大学に入ってから知識を勉強していくらでも修正できます。しかし、論理性は持って大学に入ってきて欲しい。それが大学の本音です。

この一般化が間違えていても恐れず書くことです。そもそも、その分野のプロが読んで採点するのです。寸分たがわずそのプロを説得できる文章を書けるのであれば、その大学に行く価値はありません(笑)その大学で学べるものは何もありません。間違えて当然です。恐れずに論理的に書くことです。

記述する順番を考える

一般化はなんとなく掴んでもらえたと思います。そしたら、それをどのような順序で記述していくのでしょうか。ここではもっとも一般的な方法をお教えします。実は書き方にはいろいろな方法があります。例えば一行目から引き込むようなトリッキーな方法などがありますが、ここでは最もポピュラーなものでいきます。

「序論」「本論(必要段落)」「結論」

この順序で書いていけばまず間違いないでしょう。それぞれの中身を見ていきましょう。

序論は相手をこちらに引き込む

まず知らなければならないことは、「人は話を聞くとき無意識にある領域のみの辞書を頼りにする」ということです。友達と話していても、途中まで何の話なんかまったく分からずに途中になって何の話か分かった時に、今までのことがすべてスッキリと分かった経験があると思います。

つまり、まず相手に何かを伝えるときは、今からこの分野の話をしていきますよ。というお知らせをしなければいけません。そして十分に相手をこちらの話題に引き込んだことを確認してから、思いっきり自分の主張をぶつけます!そうすることで、今から私がこの主張をあなたにぶつけていきますよというお知らせになります。

さて、先ほどの例を引きずって序論を書いてみましょう。

多くの受験生がセンター試験や各大学の受験に向けて勉強をしています。その中で最も重要な教科の一つは英語です。文系・理系を問わずに多くの大学の入試に英語が課せられています。英語を勉強する上で誰でも躓くことは、英単語を覚えるということです。膨大な量の英単語をいかにして覚えていくか、受験生の最大の悩みとなっています。その英単語を覚える方法で最も効果的な方法は五感のうち複数の感覚を同時に働かせることであると考えています。

どうですか。まず大きな枠組み(高校生の勉強)の話題から入り、その中でも英語に絞っていき、最後には英単語を覚えるという内容に入っていきました。数学でいう大きな集合から徐々に小さな集合に絞っていったことになります。

小論文になると、「私は〇〇だと思う」から書き始める人がいますが、僕が受験生全員にいうことは「私は~」から始まる小論文は小学生の作文と同レベルだ!と言っています。今すぐやめてください。ちゃんと相手に寄り添って、こちらの論述しようとする方向に導いていくのです。

本論では事実の積み重ね

次に本論に入っていきますが、ここでは自分が考えていることに関する事実を論理的に積み重ねていきます。「まず第一に~」などとして、先ほどの自分の主張に正当性を持たせていく作業です。そのために最も重要なことは、事実のみを書いていくということです。

この本論ではあなたの推測などは極力なくして一般化することです。世間一般の人が知っている形のブロックという物事をきれいに積み重ねていき、ほらこんな完成品ができたでしょう!という感じにしていかなければなりません。一般の人が見て、何それ?と言われるような自分独自のブロックは必要ありません。百均で売っていそうなブロックでいいのです。むしろ、そのほうが相手も納得します。

ここが小論文の最大の配点を持っているといっても過言ではありません。ここで一般化の道からそれてしまえば、それは小論文ではなく、あなた自身の自己満足を訴えるうざい文書になってしまいます。ここの論理をどうするかを考えてから、ペンを持って原稿用紙に向かってください。

結論でまとめあげる

ここでは最初に書いた主張と、本論とを繋げていきましょう。ここでも気合いの入ったアレンジは必要ありません。シンプルに、ここがこうで、こうなっているから、私はこう考えます。それでいいのです。

だいたい、よく単に言ってしまえば、序論:本論:結論が1:8:1くらいになってしまったっていいのです。それが小論文です。
あなたの考えを論理的に伝える。それは、シンプルであればあるほど相手に伝わりやすくなります。複雑な構成はいりません。現代文の授業や問題などで意味不明な複雑な文章がでてきて頭を悩ませたことがありますよね。それを採点者に強いることをしないでください。

最後に

どうでしたか?少しは自分の今ままで書いていた文章と違うところがありましたか?
すべてを自分の文章に取り入れる必要もありませんし、この書き方だけがすべてではありませんし、絶対的な正解でもありません。
大切なことはあなた自身がどう考え、どう思ったのかをはっきりと伝えていくことです。そのために練習を欠かさないことです。好きな人に告白をするのに、家でこっそり練習をしない人なんていません。好きだからこそ最大限の準備をし、成功確率を高めていくのです。小論文にもそうやって向き合ってください。

そのほかにも題材の設定方法や、論説の技術、比較の方法、因果関係と相関関係など様々なことがありますが、とりあえずの超特急講座として今回の2点を忘れないようにしてください。また、それぞれの技術については更新していきます。

塾生たちへ

いつも通り落ち着いて書きたいことを書いてみよ!